戉子名銘釈迦三尊像(法隆寺蔵)
戉子名銘釈迦三尊像 光背銘(法隆寺蔵)
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止利の代表作は、法隆寺金堂に安置される釈迦三尊像である。本像は推古天皇31年(623)に、聖徳太子の冥福を析るため、太子と等身大の大きさで作られたと言われる。この三尊に似た例として、法隆寺蔵釈迦三尊像(右脇待を失う)がある。光背裏に次のような銘文がある。
戊子年十二月十五日朝風文 戊子年十二月十五日、朝風文
将其零濟師慧燈為嗽加大臣 将其零濟師慧燈、嗽加大臣の為に
誓願敬造釈迦佛像以此願力 誓願して、敬みて釈迦佛像を造る。此の願力を以て、
七世四恩六道四生倶成正覺 七世の四恩、六道の四生、倶に正覺を成ぜむことを。
像の様式から戊子年は推古天皇36年(628)と考えられ、嗽加大臣(蘇我大臣)のために作られた像である。嗽加大臣は馬子もしくは蝦夷と考えられるが、三年前になくなっている馬子の追善のために、近親者が奉納したと考えたい。
本像は、中尊と両脇侍が大きな連弁形拳身光を負う、いわゆる一光三尊形式の像である。
今右脇侍は失われ、近世に補われた木造漆箔の台座に安置される。
中尊の釈迦傑は、本体と懸裳が同鋳で、表面には鍍金が施される。内部は頭項まで空洞である。背中央に光背を支えるほぞを出し、その下の地付部に台座に差し込むための垂直なほぞを作り出している。この中尊は法隆寺献納宝物145号像に酷似していることが従来から指摘されている。
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