田中廃寺発掘調査	本展覧会と図録は、蘇我三代と名うっている関係で、蘇我本宗家の関係した寺々のみを紹介した。この他、蘇我氏の関わる寺は数多く存在する。本宗家に並ぶ影響力を有していた蘇我倉山田家の山田寺や、蘇我一族と濃い血のつながりのあった聖徳太子の関係する寺々などが代表格だ。また本宗家をとりまく有力氏族以外にも、稲目の時代に分かれた枝族である田中氏は、橿原市田中町の田中廃寺が氏寺ではないかと言われている。これらの寺々については、別の機会にふれることもあるだろう。
ここで述べた飛鳥寺と豊浦寺、それに聖徳太子の法隆寺（若草伽藍）の3カ寺は、日本での本格的寺院建立の先駆けとなった寺々である。寺院の建立と言うだけでなく、瓦・金銅仏・寺院建築など、以後の日本文化を彩る多くの事象の始まりとなった、と言っても過言ではない。それらのいずれもが蘇我氏の関わった寺である。彼らの存在は、古代史を彩ったと言うだけでなく、日本文化形成の上にも、計り知れない影響を与えたと言うことができる。

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