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ガラス小型鋳型 飛鳥池造跡の工場団地の中、鋳物師の仕事場の隣には、ガラス工房があった。飛鳥時代の末頃にできた法律、律令の役所の組織についての決りでは、ガラス玉造りは大蔵省の下部機開、鋳物司の仕事ということになっているので、鋳物工房の作業所が、ガラス工場を兼ねていたということも、あり得ないことでない。けれど、よく似た作業内容といっても、銅の鋳造とガラス造りとでは、仕事の千順も、使う道具も違ってくる。そして、遺跡からは100個近くものガラス坩堝が見つかっている。これは、銅の坩堝の数よりずっと多い位で、ガラスを扱う作業が、決して小規模な片手間仕事では、なかった証拠とみていいだろう。このような事からガラス屋さんのアトリエも、専用の建物と幾つかの炉を設えた、独立の工房だったと考えられる。
この本の第一章でも説明しているので繰り返しになるが、ここで見つかっている、ガラス工作に関わる遺物を確認しておきたい。まず蓋のついた砲弾形の柑禍が沢山あって、内側には一度熔けたガラスが付着している。それからガラスを流し込んで、ビーズを作るための鋳型のかけら。これは叩き伸ばした粘土の板に、直径5mm程の半球形の窪みをならべ、窪みの真中に針金で突いたような穴をあけ、これを焼きしめたもの。また方鉛鉱や石英などガラスの原料となる鉱物もある。あとは、炉に風を送りこんで、火力を上げるためのふいごの先、羽口があるが、これは、鍛治屋や鋳物師の炉で使われたものと、区別できない。

飛鳥時代のガラス工場の跡に残されたものとしては、これ位が、はっきりとわかる遺物であまり種類も多いとはいえない。ここで、どんな風に仕事が進められていたのか、を推埋するのは、そんなにやさしいことではなさそうだ。


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