図29 北魏石棺彫文
|
蓮華洞の窟頂では円形蓮華文の天井に飛天が6天飛んでいる。その中で、供養物を両手で捧げる飛天のレリ一フは腰から逆L字形に曲げる。面長の顔と高髻に髪飾りをつける。短衽、短袖の上衣を着て供物を待っている。長裾の裾と天衣は北魏の衣文を思わせる霊芝雲の上に乗っている。
中国で飛天の出現は、仏の天上を舞う姿として登場する。それは仏陀を中心とする仏教世界の構成員としての役割を与えられたため、脇待と同し上半身裸の菩薩スタイルであった。だから時には楽を奏する伎楽天となり、時には天上を舞い散華や供物を捧したのである。仏教世界の秩序のなかで、従者として創造された。おそらく漢代以来の神仙思想に基づく飛仙や仙女のように神の使いと性格を異にしたのである。ただ初期の飛天の姿と竜に乗る飛仙とは、そっくりな程よく似たポーズであるところから、影響があったことは確かである。つまり、飛天は菩薩と飛天を合わせ創作されたと考えればあの姿が理解出来る。
|