飛天
飛天の誕生
北魏の飛天敦煌石窟

敦煌272窟
図27 敦煌272窟


龍門古陽洞窟
図28 龍門古陽洞窟


初期仏龕として名高い272窟では、ドーム状の天井をもつ方形の洞窟に菩薩を本尊とし、西側壁に4段5列の伎芸天と、天井との接点に飛天が舞う。彩色は薄茶に白色を混ぜた色合で暈した後、濃茶で力強く、くまどる。暈染めの技法である。裳は腰の結び目を省略する。薄緑と黒の濃淡で襞をつける。天衣はΩ状の背から前にくるいわゆるショール掛げで画端は大きく脇む。天井の飛天は左足を伸し、側面、右脚は足裏を表現する。顔、胸、腹を強くなぞったため、あたかも、現代画家のルオーやシケイロスを見るようである。顔は横顔で正面を向くものははとんどない。手足の指はl本すつ緻密に描いている。

275窟では胸をW字形、腹を0字形に輸郭をとり、首に三道、顔は目に細線でマナコ、さらに眉を書く。西壁を見ると仏殿に交脚像をとりまき、技楽天の奏するなかを、幾体もの飛天が舞う。なかには宝冠をつける天人も居るが腕釧、臂釧をつけ、頭は僧形である。北魏の都、洛陽の効外南30kmで、太和19年(495AD.)龍門石窟が彫られた。古陽洞と呼ばれるものの1室で、馬蹄形の平面をし、円頂の大井である。初期の飛天は光背に彫られ上半身裸で下に長裾をはく、裾の腰中央の円形の衣飾姿はU字形をする。天衣は横長の楕円形である。



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