飛天
日本の飛天
奈良特代の飛天

東大寺大仏殿燈篭飛袋扉
図72 東大寺大仏殿燈篭飛袋扉


平城京右京六条にある薬師寺東塔の水煙には、12人の飛天が舞う。雲中を天衣をはためかせ、垂直に舞い降りる飛天、散華する飛天、笛を吹く飛天は「凍れる音楽」として知られる。いづれも短袖の上衣、長裙をはいている。髪形は高松塚古墳壁画女性の義髻であろう。また、この時代を代表する飛天は、東大寺大仏殿の八角燈籠火袋を飾る音声菩薩立像がある。その姿は地上に降りた飛天であり、丸顔、高髻、宝冠をかむり、衣は偏但右肩で臂を入念に加えることによって、時代の雰囲気をかもし出す。火袋の縁は彫金が装飾しており、蓮華文の中を飛ぶ伎楽天がある。その様相は盛唐の飛天そのものであろう。

正倉院宝物の墨絵菩薩像は布に墨書で描いた雲中に坐る飛天である。裸の上半身、高髻の髪形、顔の表情さらに宝冠や瓔珞の表現、天衣は腕、脚を通すなど菩薩像を充分に熟達した筆法で、時代を代表する手なれた画家によるものであろう。中国では見られなかった天平飛天像である。


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