敦煌壁画322窟仏説法図(盛唐)
ミーラン出土有翼天使図
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敦煌壁画445窟弥勒浄土変部分(盛唐)
以上の諸点を総合すると、本壁画の飛天は、隋から初唐の間に西方よりもたらされた新しい形式の飛天を祖型としながら、唐代に入って台頭した中国独自の様式を受容して、初唐の後半期(7世紀後半)にある種の融合現象を示した中国式飛天とも言うべき一つの時代様式を伝えたものと思量される。それは朝鮮半島を経由したものではなく、直接中国よりもたらされたことは疑いない。とすればこのような新様式を中国から受容したのはいつであったのか。それはともかく、本飛天図が初唐様式の影響下に成立した白鳳絵画の貴重な遺品であることを再確認しておきたい。
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