飛鳥資料館/飛鳥の時代


飛鳥前史
「飛鳥時代」の範囲
「飛鳥」という地名
豪族時代から律令制時代へ


飛鳥前史
石器時代から飛鳥時代の始まるまで

縄文:土偶・ナイフ・土掘具・石鏃
縄文:土偶・ナイフ・土掘具・石鏃
3000年前の飛鳥 -縄文時代-

飛鳥は、森と原野におおわれており、イノシシやシカがかけめぐっていた。すでにところどころに人が住み、石の道具と土器を使い木の実を集め獣を追ってくらしてていた。

弥生:石槍・石鏃・石包丁・大型石包丁
弥生:石槍・石鏃・石包丁・大型石包丁
2000年前の飛鳥 -弥生時代-

このころには飛鳥にもすでに水田ができ、農村が誕生していた。やがて、石器に代って鉄の刃ものが登場した。人々の間には、支配する人・される人の区別ができ始めた。

古墳:鉄鏃・銅鏃・勾玉・紡錘車
古墳:鉄鏃・銅鏃・勾玉・紡錘車
1600年前の飛鳥 -古墳時代-

このころ、天皇家や有力な豪族たちは、国の統一を進めており、彼らの力を示すために高く土盛りした古墳を造った。しかし、そのころの飛鳥は、まだ政治の舞台にはなっておらず、古墳は造られていない。ただ注目すべきことがある。朝鮮半島からの渡来人が今の明日香村の各地に住み始めていたことである。

1400年前の飛鳥 -飛鳥時代のはじまり-

飛鳥に住んでいた渡来人を掌握していた豪族、蘇我氏が有力になると、飛鳥は、にわかに政治・文化の中心になった。新しく受け入れられた仏教文化は、この地に初めて開花した。天皇の宮・豪族の邸宅・寺院などが建ちならび、日本の古代国家は、飛鳥を中心に形づくられてくる。



「飛鳥時代」の範囲

飛鳥全景
飛鳥全景
飛鳥時代という時代分けは、1900年前後に、建築史・美術史で初めて用いられたもので、その提案者は関野貞と岡倉天心であった。関野は、飛鳥時代を朝鮮の芸術が影響を与えた時代と推定し、推古朝から大化改新までとした。岡倉は、仏教伝来(552年設)から平城遷都(710年)まで、主として飛鳥地方に都があった時代を飛鳥時代としてたが、「正確なる年代区分」としては、仏教伝来から天智天皇即位(667年)までに限定した。関野は唐の影響を受けた「寧楽時代」(白鳳・天平時代)に対して、また岡倉は「天平時代に」対して、それぞれ先行する時代を飛鳥時代と考えたのである。現在、日本史では、岡倉が広く用いたような意味で、推古朝ごろから平城遷都までをこの名でよぶことがある。しかし意味が確定しないこともあってむしろ7世紀前半とか、天武朝とか、世紀や天皇の名前を使うことが多い。美術・建築・考古の分野では、現在においても、関野説のような意味で、この分け方を使っていることが多い。



「飛鳥」という地名

現在では、明日香村を中心として、橿原市・桜井市・高取町などの一部を含めて、広く飛鳥と呼ぶことが多い。しかし、7・8世紀には、香具山より南、橘寺付近より北で、飛鳥川より東の地域を主に飛鳥と呼んでいた。藤原宮はもちろん、現代の豊浦・桧前なども飛鳥には含まれなかったらしい。当館では、初めに述べたような、広い意味の飛鳥を用いている。古い文献では、「あすか」に飛鳥・明日香・阿須迦などの文字を当てている。飛鳥という用字については、「あすか」に掛かる枕詞「飛ぶ鳥の」が、地名を表記するのに用いられたという説や、686年(天武天皇14年)に、朱鳥というめでたい鳥があらわれたので、飛鳥という文字がが当てられたという説があるが定説ではない。明日香・阿須迦などは、漢字の音や訓を用いた表記である。




豪族の時代から律令制の時代へ


豪族の衰退
4・5世紀以来、中央の政治を動かしてきたのは天皇家を中心とする大豪族であり、6世紀中ごろには、物部・蘇我の両氏が実権をにぎっていた。しかし587年、物部氏がほろぼされてからは、蘇我氏が政権を独占した。飛鳥が政治・文化の中心になったのはこの時からである。しかし、遣隋使・遣唐使を通じて中国のようすがわかり、また強大な随・唐の勢力が朝鮮にも及ぶようになると、これに対応して、古い体制を脱し、強固な国家の造ろうとする動きが新しくでてきた。645年(大化改新)、蘇我氏は中大兄皇子・中臣鎌足らにほろぼされ、大豪族の支配する時代は終わった。中大兄皇子(天智天皇)らは、唐・新羅と戦う一方、中国の制度をとり入れた新しい国家の建設に努め、天武・持統両天皇の時にこの事業はほぼ完成した。律令(刑法と行政法)が国家の法典とされ、豪族の支配下にあった全国の民衆は、中央・地方に置かれた役所を通じて中央政府に支配されることになったのである。694年(持統天皇8年)に完成した藤原宮は、まさに律令制国家完成の記念碑といってよいであろう。

豪族の分布


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