飛鳥は、森と原野におおわれており、イノシシやシカがかけめぐっていた。すでにところどころに人が住み、石の道具と土器を使い木の実を集め獣を追ってくらしてていた。
このころには飛鳥にもすでに水田ができ、農村が誕生していた。やがて、石器に代って鉄の刃ものが登場した。人々の間には、支配する人・される人の区別ができ始めた。
このころ、天皇家や有力な豪族たちは、国の統一を進めており、彼らの力を示すために高く土盛りした古墳を造った。しかし、そのころの飛鳥は、まだ政治の舞台にはなっておらず、古墳は造られていない。ただ注目すべきことがある。朝鮮半島からの渡来人が今の明日香村の各地に住み始めていたことである。
飛鳥に住んでいた渡来人を掌握していた豪族、蘇我氏が有力になると、飛鳥は、にわかに政治・文化の中心になった。新しく受け入れられた仏教文化は、この地に初めて開花した。天皇の宮・豪族の邸宅・寺院などが建ちならび、日本の古代国家は、飛鳥を中心に形づくられてくる。