春の万葉歌


■いはばしる垂水の上のさ蕨の、萌え出づる春になりにけるかも

(岩の上を流れる、滝のほとりの蕨が生え出す春になったことだ)
志貴皇子 春の雑の歌(万葉集1418)

春といえばまずこれでしょう!!
志貴皇子の爽やかな歌は、声に出しても気持ちいいですよね!

■ひさかたの天の香久山、このゆうべ、霞たなびく、春立つらしも
 柿本人麻呂(10-1812)


(向こうに見える天の香久山。今夜見渡すと、
あの山に霞がかかっている。どうやら春が到来したらしい)

■百済野の萩の古枝に春待つと居りし鶯鳴きにけむかも
 山部赤人(8-1431)


(百済野の萩の枯れ枝に、春が来るのを待っていた
鶯(うぐいす)がもうこの2,3日来鳴き出したことだろう)

■今行きて聞くものにもが、飛鳥川、春雨降りて激(たぎ)つ瀬の音を
 作者未詳(10-1878)


(飛鳥川では春雨が降ったために、激しく流れているだろう。
その音をこれから行って聞けるものならよいが)
(明日という川の名前だからどうしたものだろう、とおどけたもの?)

私も聞きに行きたい!!

■春日なる三笠の山に月も出でぬかも 佐紀山に咲ける桜の花の見ゆべく
 作者未詳(10-1887)


(春日の三笠山に月が出てくれればいい
 佐紀山に咲く桜の花が見えるように)



更新日:2003,4,2