春を待つ−その1
ロゼットのお話

木枯らし一番が吹き、紅葉も週末を迎えると、植物も冬姿になってきます。
今回は、そんな冬姿の植物についてのお話です。
ロゼットという言葉をお聞きになったことがあることと思います。
ロゼットって、一体なんでしょう?
植物図鑑の用語解説には、
「地表面付近にあるごく短い茎と、それから出てほぼ水平に広がった多数の葉とからなる集合体」
と書いてあります。
八重咲きの薔薇を連想させることから、「rosette」という名が付いていて、越年草(越冬1年草)などの
冬越しの姿として見られるものです。
「越年草」と書きましたが、皆さんは「二年草」という呼び名の方が馴染みがあるかもしれません。
園芸の分野では「二年草」と呼ぶようですが、植物学では「越年草」というのです。
では、実際のロゼットを見てみましょう。
いずれも、植物名をクリックすると関連ページに飛びます。
お馴染みのタンポポのロゼットです。
これは、セイヨウタンポポのものですが、カンサイタンポポやカントウタンポポでも、同じようなものです。
こちらは、オニタビラコのロゼットです。
タンポポのロゼットと比べると、色が白っぽい緑で、葉っぱの切れ込みも大きいというところが違いますね。
コオニタビラコのロゼットです。
春の七草の「ホトケノザ」は、これです。
タビラコとも呼ばれるのですが、他にもタビラコという別名を持つ植物(キュウリグサ)があるので、オニタビラコより小さいから、コオニタビラコと呼ばれるのですが、実は、植物の背丈は確かに小さいのですが、花はコオニタビラコの方が、オニタビラコより大きいのです。
ノゲシのロゼットです。
道路の隙間から顔を出していました。
同属のオニノゲシも同じようなロゼットですが、「鬼」といわれるだけあって、葉っぱのトゲトゲはノゲシに比べると鋭く尖っています。
ヒメジョオンのロゼットです。
よく間違えられるハルジオンは多年草で、このヒメジョオンは1年草です。
ハルジオンもロゼットを作りますが、ヒメジョオンとの違いは葉に柄が無く、直接茎を巻くように付いていることと、葉に白い毛が密生してることです。
こちらが、ハルジオンのロゼットです。多年草ですが、咲く時期は春先、ヒメジョオンより早くて、ヒメジョオンが咲く頃には花の時期は終わってしまいます。
一度地上部は枯れるのですが、またこのように新芽を出して、ロゼット状態で冬越しし、少し暖かくなると、2月頃からでも花が咲き出します。
オオバコのロゼットです。
オオバコは多年草で、冬も枯れずに残ります。
冬越しの間だけロゼットを作る植物もありますが、このように、1年中葉っぱの形はロゼット、という植物もあるのです。
ナズナのロゼットです。
もう、短い花茎が出て、花が咲いてしまっています。
地球温暖化の影響?

次のページでは、ロゼットを作らない植物もご紹介します。

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