ガイドブックがいど
−その2−
【写真集&テーマに沿ったもの】



一昔前(もうちょっと前かな?)であれば、和辻哲郎の「古寺巡礼」あたりが奈良・明日香への
ガイドブックだったのでしょう。
それに比べて今は、いともたやすく、様々な情報を得ることができます。
情報は大切だけれど、逆にそれによって、
訪れる前にそこを評価してしまうという望ましくないない作用もあるような気がします。

たびの面白さの一つは『発見』。
旅にお出かけの際には、「想像力」を家に置き忘れないよう、くれぐれもご注意下さいね。




光村推古書院 「奈良万葉@飛鳥」 写真:井上博道


ほとんど何の解説もありません。頁ごとに、氏の写真と万葉の歌が一首。それだけに、余計想像力を掻き立てられます。
氏の写真は、一見地味に見えます。しかしそれが、表面的な美しさを狙ったものであったり奇をてらったものでなく、実際の明日香の表情、自然な姿をありのままに伝えようとしているようにも思えてきます。
「行って御覧なさい。これと同じ風景をあなたも見ることができます。」
そう語りかけられているような一冊です。



編集工房あゆみ 「遊歩vol.1明日香」


明日香の歴史を主に、伝説や民話、和歌・俳句などを取り入れながら詳しく解説した一冊です。
明日香を見るためのガイドブックではなく、明日香を知るためのガイドブックを目指す、そんな意気込みが伝わってきます。
一般に知られていないような場所も多数あり、二度目、三度目の方でも、また新たな魅力を発見できるかもしれません。



小学館 ショトル・トラベル 「文士の大和路」 田中昭三

明日香を含めて、奈良・大和路は多くの文人にも愛され続けた土地です。
司馬遼太郎、志賀直哉、和辻哲郎などの作家とこの地の交わりを紹介し、土門拳、入江泰吉などの写真とともに、その魅力を綴った一冊です。




新潮社 とんぼの本 「万葉散策」


万葉歌の歌枕を尋ね、美しく季節感のある写真とともに紹介した一冊です。
奈良・大和をはじめ近江や遠くは九州の歌枕も紹介され、万葉の世界を楽しむだけでなく、万葉集の入門書としても有用な本になっています。