私の明日香ファイル
〜明日香の見どころ、歩きどころ〜



  File No. 035 酒船石 さかふねいし

 明日香村岡

酒船石は、いにしえの工人が、我々に課した最大の難問である。
近年、この周辺の発掘調査が進み、少しずつヒントは増えてきたとはいえ、未だ解明されるには至っていない。
この石の前に立つ時、自分の浅はかな知識では到底手におえないことはわかっていながらも、つい想像をめぐらしてしまう。
岡をめぐらす石垣の発見から、書紀の斉明記にある「宮の東の山」に属するものではあるだろうし、車石があることから、導水施設である可能性も高い。しかし、思考はそこまでで行き止まりとなる。
頭の中と同様に、ただこの石を見つめながらぐるぐると周りを回っていることしか出来ない私である。
「人間は進歩した」などと、どうして言えようか。
まだまだ私たちは、飛鳥びとには、勝てない。

 奈良交通バス岡天理教前下車すぐ、飛鳥寺より徒歩5分

 


・東西長軸5.5m、南北2.3m、厚さ約1m。
・南北両側にある矢の痕跡は、鬼の俎と同じく、高取城の石材調達の採取跡とみられる。