私の明日香ファイル
〜明日香の見どころ、歩きどころ〜



  File No. 034 伝飛鳥板蓋宮跡 きんめい

 明日香村岡

あくまでも、「伝」飛鳥板蓋宮跡、なのである。
代々の天皇によって明日香に営まれた宮は、時には隣り合い、時には重なり合いながら、丘陵に囲まれたさして広くはないこの地を埋めている。
この地に宮が営まれた期間は約100年。まあ、100年もあれば建造物が3、4回も立て替えられるのはわからなくもない。重なっていて当然と言えば当然である。
しかし、それから1300年も後になってその痕跡を求め、いつの時代にどんな建物があったのかを解明するなどというのは、よくよく考えてみれば難しくて当たり前なのである。
ということで、ここもまた、はっきりしたことはまだわかっていない。復元されたこの井戸の遺構は、少し後の天武朝、飛鳥浄御原宮のものであるらしい。さらにその下層にもう一つの遺構があり、それが板蓋宮である可能性が強いと考えられている。
下層の遺跡の調査となれば、上層の遺跡の破壊ということにもなるのかもしれない。真の板蓋宮は、永遠に封印されたと思うべきなのか。あるいはいつかその謎が解き明かされる日が来るのであろうか。

 奈良交通バス岡天理教前下車徒歩5分