飛鳥資料館

 明日香村と桜井市の境に位置する飛鳥資料館は、このHPの親元です。
 閑話休題‥‥、
 ここには、近くの真神原で発掘された「須弥山石(しゅみせんせき)」と「石人像(せきじんぞう)」があります。他にも山田寺の遺構や様々な資料が展示されていますが、ここは石造物のページなので、石造物に絞らせて頂きます。そして有名な石造物のレプリカが沢山あります。

●須弥山石
 明治35年に発掘されました。高さ2.3メートル、3段積みの円錐状の噴水の機能を持つ装飾石で、石の全面に浮き彫りがなされています。上段が仏教の世界観に於いて世界の中心にあると言われる須弥山を表わし、中段がそれを取り巻く山々、下段は水波紋です。
 下段石の裾には取水用の木樋を組み合せる仕口として、高さ16センチ、幅66センチの方形にくりこみがあるそうです。内側は深さ約40センチの臼状に刻込んだ水槽になっており、底には四方に直径約5ミリの小孔があり、水槽の縁にも、底から垂直にあけられた直径2センチの小円孔が2本あり、1本は木樋仕口につながり、もう1本は余分な水を排水する役目のようで、途中に孔を塞いで噴水の圧力を調節する仕掛けだそうです。
 中段の内側は、漏斗を逆にした様に加工され、上段は内側に窪みをつけた蓋になっています。
 噴水の仕組みは、下図を参考にして下さい。
 多分、須弥山石は大海をイメージした池の真ん中に立っていたと思うのです。下段の水波紋は須弥山に寄せる浪の意匠で、4つの噴水は大河を表現しているのでしょう。

資料館にある須弥山石のレプリカ

ちゃんと水が出てますので、
近付き過ぎて濡れない様に
御用心ください。
近くにはホンマもんの車石や
酒船石のレプリカがあります。
雨の日は心無しか
水の量が多い‥‥。

管でつながった噴水と水源の水面が同じ高さに
なろうとする性質を利用して噴水の吹き出し口に
水を供給する。

●石人像
 須弥山石発掘の翌年(明治36年)、その横から出土した、男女の姿を彫刻したものです。
 高さは1.7m、幅70cmの石に、等身大の老人男性が岩に腰掛け、背後(横?)から寄り添う老女の姿です。服装は大陸風で、襦(筒袖の上衣)と裙(スカート)を着用しています。
 像の底部中央から中程まで径4cm程の孔を穿ち、これに向かって男性の口元と女性の口から、直径2cm程の円孔を以上づつ通しているそうです。須弥山石と同じく噴水として使われていたのでしょう。
 男性は大杯を口にしていた様ですが、現在では欠けているので、導水孔の破断面が見えています。

【石人像】

資料館にあるレプリカです。
水を吹いているので
近寄ると濡れます。
腰掛けた男性の後ろから
女性が抱きついています。
歓喜天の様ではありません。
微笑ましい光景なのでしょう。

【男性の顔】

 かなり皺が刻まれています。
帽子を被った老人です。
因みにホンマもんの方の
盃は壊れているので、
導水孔の様子が見えます。

【女性の顔】

こちらも皺が刻まれています。
剽軽な顔の老女です。
これが若い美女だと、ちょっと
すごい想像をしてしまいますね。
服装は中国風で、襦と裙を
着用している様です。

【石人像】

これは資料館にある本物。
男の口元にある筈の
盃が破損しているので、
導水孔の様子がよく分かります。
‥‥って、この写真では
分かりにくいですけど。


●車石
 昭和10年に岡の酒船石から南10mの所で、酒船石に付属すると思われる車石が16個発見されたそうです。
 長さ1m、幅40cm、厚さ50cm程の花崗岩に、車の轍の跡の様な溝(幅10cm、深さ4cm程)が彫り込んであるのでそう呼ばれている様です。
 岡の酒船石から流れた水が車石を通って南側に導かれて(板蓋宮の横を通って苑池遺跡・出水酒船石の方へ)行ったのでしょうか。


【車石】
資料館中庭にて。(野焼き中)
雨の日だったので、水が流れております。
行き着く先は出水酒船石(レプリカ)→


●八釣マキト5号墳
 資料館の庭に移築されております。見て、触れます。

【正面】

うちの長男が120cmなので、大きさを比較してみて下さい。
石には数字が書かれているそうです。

【上から見た所】

すみません、何も注意がないのを
いい事に登ってしまいました。
岩本さん、ごめんなさい。

●おまけ

【二代目カメ】

岩本様提供。
「浄瑠璃寺横からトレーラーで到着
100トンクレーンに
ぶら下がっております。」

参考:資料館冊子「あすかの石造物」


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