二上山登山記

(2002/4/2)

二上山とは

二上山は、奈良県と、大阪府の県境に跨る山です。
今は「にじょうざん」と地元では呼ばれており、駅名もそうですが、
個人的には「ふたかみやま」と呼ぶ方が好きです。
名前の通り、雄岳、雌岳からなり、夕陽が沈む時の、その美しさは筆舌に尽くしがたいです。
1時間ほどで登山できる気軽さが初心者にもうけがいいです。
ただ、罪人大津を葬るのに選んだだけあって少し暗い印象がありました。

二上山と山岳信仰

二上山は、大津皇子が葬られていることで有名です。その墓は、雄岳山頂にあります。
しかしこれは後世につくられたもので、本当はどこにあるのか定かではありません。
最近見つかった二上山のすそのにある鳥谷口古墳が大津の墓ではないかといわれています。
実際に鳥谷口古墳を見に行くと、驚くほど小さい石棺であり、
綺麗にも整えられていない印象がありました。それは、罪人大津にふさわしいようにも思えます。

二上山登山記



2002年4月2日。快晴。桜満開。
このような恵まれた天気の中、二上山に登りました。
前日、夜行バスで東京を夜10時に出、予定より早く JR奈良駅に着きました。そのまま二上山に向かうことにしました。 奈良から大阪に出、大阪から奈良へという少し遠回りのようなコースです。 4回くらい乗り換えたのだがあまりにスムーズにいって驚きました。 奈良駅から3つめくらいに法隆寺という駅があり、1人で興奮していました。 奈良の人にとっては日常なんですね。。。二上山駅に降り立つと、 二上山目指して民家の中を歩きました。 途中かなり迷いましたが人に聞いたりしてなんとか行き着くことができました。 二上山登山口は道路の橋の横で驚きました。(雌岳山頂の日時計→)




一期一会

朝の二上山登山口は暗かったです。
すぐ横には大きな池があり、不気味な色の水をたたえていた(ように見えました) 前後に人はいませんでした。 唯一大丈夫かなと思えたのは人が踏みしめた跡があったからです。 でも山登りだから息は上がりますし、 二つに分れている道はどちらか分かりませんし。どこで引返そう。。。不安ばかりが募りました。 途中休憩場のように椅子が置いてある所があり、
そこで地図を見るともうすぐのように見えました。 水を飲んで少し勇気を出し、整備されている道を進みました。ところがこれもまた長くて長くて大変でした。
やっと広場らしき所に出たとき、また一息ついたのだが、これからどうするべきか全然分かりませんでした。
その時です!なぜか声がしたのは!!!!
急に元気が出て、また歩き出しました。
すると確かに人がいました!しゃがみこんで植物を観察しているようでした。 近づくと女の人が二人でした!!二人も私に気付いたようで、
「どうぞ追い越していって」といってくれたのですが、「一緒に連れていってください!」と頼み込みました。
二人は別に不思議がる様子もなく「私たちは遅いけどね」といいながら承諾してくださいました!!
結局二人に付いて雄岳だけでなく、雌岳、 そして鳥谷口古墳、当麻寺と行くことができました!(感涙)
本当にありがとうございます。感謝してもしきれません。

二上山の桜は吉野の比にならないくらい綺麗だった

(注:お二人の証言)

苦労して登った雄岳山頂の大津皇子お墓を見たときは本当に感動しました!
また山頂から見る周辺の山々の清々しいこと、満開の桜の美しいこと!
勇気を出して一人で明日香へ旅立って本当に良かったと心から思いました!!

春の飛鳥路

(2002/4/3)

明日香旅行はほぼ初めて なので、明日香の主要な所を巡ってみました。

橿原神宮

橿原神宮は、1940年皇紀2600年にあたる年に作られました。
4月3日といえば、橿原神宮で行われる神武天皇祭があります。
様々な団体が橿原神宮前駅から橿原神宮まで
練り歩くお祭りです。
神武天皇祭自体の起源は浅く、まだ数年であるといいます。

4月3日のその日は、朝から太鼓の音が鳴り響いていました。
北は秋田から、南は姉妹都市宮崎まで様々な団体が通りました。
宮崎は、神武天皇が降りたところということで姉妹都市になっているらしいです。


飛鳥




飛鳥は古代、7世紀に都があった所です。 場所によっては少し掘ればすぐ遺跡が出てくると いわれるくらい古代色に富んだ土地です。 その陰には、伝統を受け継ごうとする明日香村の人々の真摯な姿があります。 この日、明日香は桜が満開で石舞台古墳の上に 桜吹雪が舞っていてものすごく綺麗でした。


高松塚古墳

飛鳥駅から明日香巡りをするとき、まず着くのが高松塚古墳です。
高松塚古墳は1972年に発掘された古墳です。
壁に描かれている女人の服の美しさが注目されました。
その後、壁画を守るために、高松塚壁画館ができたのですが、
それは高松塚の切手の収入でできたものだといいます。
どれくらいこの古墳が愛されているかがわかります。
実際行ってみると国営飛鳥公園となっており、綺麗に整備されていました。
中尾山古墳・文武天皇陵も近くにあります。


石造物

飛鳥といえば石造物で有名です。猿石、亀石、酒船石、亀形石造物、 どれも魅力的な石ばかりです。まさに石の都(そしてそこには水も流れていたはず) それらの石はどのように作られたのか気になるところです。 時代としては、斉明天皇の頃らしいです。 飛鳥駅から少し橿原方向に北上し、一つめの信号を右に曲がると猿石の表示があります。 まず気付くのは奥にある丘のようになった欽明天皇陵です。 その手前が吉備姫王の墓ということになります。 それは民家の中のようで最初入るのがためらわれたのですが、 思いきって入ってみると、確かにお墓があり、その奥に、 しっかり見ないと気付かないほどに、猿石がありました! 一度元に戻り、坂道を上がっていくとまた鬼の雪隠(せっちん)、 俎(まないた)と呼ばれる石造物がある。 そしてさらに上がり、細い路を行くと天武、持統陵に出ます。 でも持統さま見晴らし
がいいところに眠っていらっしゃる! 本当に飛鳥を見渡せるんです!次にさらに東へ行くと亀石発見です!
(↑亀石)恐い伝説があるけどかわいいです。酒船石も民家の中、階段を上がっていくとありました。
上から見下ろすと亀形石造物が見えまし。

古代のチーズがあります。当時高級食だった「蘇」と呼ばれるものですが、
今も独自の方法で作られています。牛乳を石鍋にいれ、何時間も火に掛けると出来ます。
自宅でもできるようですが、一気に大量に作らないとあの独特のキャラメル色は出ないらしいです。
牛乳の美味しさがギュッと詰まってなんともいえない、クッキーのような味もします。
古代に生まれていたら口にできなかったものを口にできる幸せを噛み締めます。
古代史ファン必須の食べ物です!
明日香に行く時には必ず「みるく工房・飛鳥」さんの所に寄ることにしています。

桜の都

その後、飛鳥寺、水落遺跡、飛鳥資料館、万葉の森、古池、新池、などを巡り、
旅を終えた。本当に一通り廻ってみるのが目的だったので
レンタサイクルで、一箇所数分という速さで見てまわりました。
とりあえず明日香を見たという感じです。
とにかく桜が綺麗だったのが印象的でした。
最後に大好きな志貴皇子の歌。透き通るような歌の響きがいいです。

いはばしる垂水の上のさ蕨の、萌え出づる春になりにけるかも
(岩の上を流れる、滝のほとりの蕨が生え出す春になったことだ)
志貴皇子 春の雑の歌(万葉集1418)

旅日記に戻る/ 更新日:2003,8,19