'03シーズン余呉高原での1級スキー検定

2003年02月23日(日曜日)最低気温3度最高気温5度

余呉高原スキー場は琵琶湖の北で福井県と滋賀県の県境の峠にあるのですが
高速代(片道3000円)をケチって早朝3時間半で現地到着。高速を使えば2時間ちょっとかかるので
1時間ちょっと余計かかるぐらいで3000円が浮くならば高い時給ですから効果ありますわ。

今週の関西のスキー場は雨の為に雪はシャーベット状で非常に重く所々土が見えています。
水をたっぷり吸った重い雪の為、ターンの切れ味も落ち急斜面が長いわけではないので
側力を感じるような強い遠心力を感じるターンもできませんわ。

7時半の開門で早速リフトに乗り早速一本目。
うむむ、シャーベット雪にはかなり泣かされます。
切れ味の良いターンができなくなっちゃいました(ToT)
雪質に戸惑い基本であるスキーへの力のかけ方をわすれてしまいましたわ。

10時の検定までになんとか滑りを思い出し、
苦手なカービングショートターンの練習も仕上げなければなりません。
大回りでもスキーが横を向いたところからスキーを真下に向けるまでの
谷周りでのスキーを逆エッジを立てて踏みけって「ギュン!」というスキーの
反発力を生かしたシャープな動作がシャーベット雪でできない・・・
やばい、致命的や・・・。
しかも土が見えてるから土の上は絶対踏みたくない。

ショートターンは暴走気味・・・。
非常にやばい、検定時間までになんとか修正しなければ。

検定種目

1級は各種目平均70点(最終的にはトータル350点が取れれば合格)
さてさて、3年前に受けた検定では
午前中に受けた検定で
カービング要素の
・大回り 69点
・中周り 69点
・総合滑降 70点
昼休み中に少しレベルアップして
そして挑んだ午後の検定
カービング+スキッディング要素の
・大回り 70点
・中〜小回り 70点
検定中にレベルアップしたので2点減点になったやつも
その後でもう一回受けたらうかってたレベルに達してたんだが
もう一回受ける機会ができずに今日に至ってました。

トータルポイントで何点取れるかというのが合否に左右するのですが
2級は各種目平均65点、1級は70点、テクニカルプライズは75点、クラウンプライズは80点を取る必要があり
日本のトップデモンストレーターは92,3点のポイントを叩き出します。

1級付近の点数表

1点差というのはどれぐらい違う物なのか、
どの本にもそれが書かれてる本はありません。
いろんな減点要素があるので簡単には表にする事が出来難いのが正直な所です。
そこで自分が評価された点数、人の滑りなどを観察した事により解った自分なりに
1級付近での点数別にどうスキー技術がどう違うもののかを
カービング要素の大回りターンを例に簡単に表にしてみる事にします。

点数
カービング要素の大回り採点内容
65スキッディングターン、板を横に向けてスキーをずらしながら滑る(2級)
66膝から下をそれまでより大きく板の角度を傾けて角づけをして、 ターン中スキーが真下から横を向く山周りターンでアイススケートするようなレールの上を滑る横ズレをしない滑り
67山周りで適正な荷重のかけ方で内足に体重をかけて板をしならせて板から反発力を感じるような滑り
68板が横を向いた状態から真下方向に向くまでの谷周りでベンデングターンにて逆エッジをかけて滑る事ができる
69谷回りで外足にて踏み蹴る事ができる。また、体の軸が後傾になりすぎない。
70スキー板の角度が雪質や斜面に適合した角度に傾けてその板の角度や速度に適合した方向に踏みけり板から大きな反発力を感じる事ができる。 板の角度が悪いとアイスバーンや急斜面では板がブルブル震えてズレを生じたり、雪質が悪いと失速するのでそこを基準とする。(1級)
71谷周りでは内側の足で踏みけり、山周りでは外足に荷重をかけて周り速度がさらに乗る滑り
72左右の角度や状態のバランス取りを洗練させ下向きの自分の体重と同等またはそれ以上の横方向の遠心力を得てその強い遠心力で前に強い荷重をかけなくとも 板を大きくしならせて強いカービングを生み出す。(またその時は強い遠心力の為無意識に歯を食いしばっている事でしょう)

今現在自分ができるベストコンディションでの最高の滑りはここまでなので実体験を元にわかる範囲で
簡単にまとめて表してみました。
大回りでの評価基準を書いてみましたが十分ショートターンや他の滑り方に応用ができるので
1級付近の方には自分の滑りが何点かこれで自己評価できると思います。
もちろん書き漏れてる減点要素である例えば、スキー板を傾ける角度が悪いと失速してしまい酷い場合は
谷周りでカービングができなくなる場合もありますし審査員の前で滑走後ストップしなければ暴走行為とみなされる要因になるなど
減点対象となる物やそれができない為に連鎖的に他の減点要因を作り出したりできていた事すらできなくなったりする事もあるので
一概に点数から根本的な敗因がこれだとは言い切れない点もあるのですが一つの目安となる事でしょう。

エアーにビビり出す

リフトに乗ってる時、調度ボードパークの真上を通るのだけど
正直な所去年の事故でエアーメチャメチャビビッてました。
アライスキー場でもジャンプ台を飛ばなかったのはビビッてたからなんです。
バイクレースやってるプロライダーは体にボルトが数本刺さってるとよく言うけど
事故ってからそこのコーナーは非常に怖くてビビってしまうそうがだ、
事故した後はそのコーナーを徹底的に攻めて恐怖を克服するのだそうだ。
リフトの真下では18,9歳のねえちゃんがキャーキャー言いながらも
速度や滞空時間はしれてるし着地が成功してるわけではないが、
技術以前に一番大切な飛ぼうとする気持ち、モチベーションが俺には無かった。
ジャンプ台で飛んでるのを見ると自分が負け犬みたいで
自分がどんどんブルーになる。ウォータージャンプでバックフリップを
やっててもやっぱり雪面ではたとえ技を決めなくても怖い。
エアーをやるのを過去の栄光にはしたくない。
現役復帰したいと思いつつ恐怖が脳裏をよぎる・・・。
検定後にでも飛びに行かないとまじもんでもう飛べなくなるんではないかという不安がよぎった。

スキー検定の過去と現在

1990年代半ばにそれまでとは違う全く新しいスキー板、カービングスキーが発売されて
スキー技術も大きく代わり毎年どんどん進化し昨年までは技術構築の過渡期だったのですが
今年からはようやく完成形になりました。
スキーの板も大回りの場合は男性の場合、170cmの板がベストだったのですが
今年のモデルからは160cmの板がいいようになりカービングスキー板のモデルもどんどん進化してきています。
さて、そのカービングスキーの出現により検定内容も大きく変わりました。

以前から1級はカービングターンが必修だったのですが、
以前の検定内容は平成9年度で
・パラレルターン大回り
・パラレルターン小回り
・ステッピングターン踏みけり
・パラレルターン規制(現在の中〜小回り)
・総合滑降
が検定種目で現在はスキッディングとカービングの組み合わせで
斜面に適合したターン弧で斜面に合った滑り方をチョイスできるようになろう
という趣向にかわってきました。

スキー検定試験場選びのポイント

正直今回余呉高原で検定を受けたのは失敗だと思いました。
以前氷ノ山国際スキー場(鉢伏スキー学校)で受けた時は
カービング要素のターンはベンディングターンでカービング色を強めた滑りで
カービング+スキッディング要素のターンはストレッチングターンで滑り
斜面や雪質などに応じてそれぞれ使い分けるという趣向を踏まえて
それぞれ滑り方を変えて検定をしたんですけど、
今回は両方の検定とも同じベンディングターンのカービング要素で滑るようにとの事。
カービング要素のターンで滑っても全員100%カービングででは滑れてないから
それでいいというのだ。
確かに理屈は合ってる。トップデモンストレーターがアイソメトリックターンで滑っても
ターンとターンの間には切り替えが必要なのぜ絶対に100%カービングは無理なのだが
ではどこに2回も同じ事をする必要があるのか。
ちょっと違うんじゃないかな?と疑問があった。
新雪なんか滑るのにカービング要素のターンでは滑れないわけだし、絶対使い分けは必要のはず。
そして、検定が改定されてから講習+テストというテストを受けるにも
講習も受けなければならないという風に変わったのだが
余呉では一本しか練習しなかった。
無論1時には終わって午後からはコーチ達は自分たちの練習をしている。
氷ノ山国際では昼からも講習とテストがあったんだがね。
昔の検定色が強くて現在のスキー検定とは違うように思えたわけだ。

シャーベット雪に苦戦した検定開始

今回の検定バーンは雪質不良の為普段よりも少し下の位置からスタート。
これは痛かった、おかげでスキーの滑走速度が大きく下がったうまくスキーに乗れなかったんだわ。
普段はコブ斜面も使うそうだが今回は斜面不良でそこもなし。
中斜面のシャーベット雪+一部土が露出しているという最悪のコンディション。

シャーベットで失速の為、大回りでは谷周りで踏みけりが利かず、
ショートターンでは皆スキッディングターンしよって
まじでビビッた。
カービングしないと論外やでぇ。
っで、俺が滑ると前半はいけてたが後半でシャーベット雪に泣いてうまく雪に板が食い込まず
スキッディングになっちゃった(大汗)
コーチは皆さんに対し苦笑

一本の練習が終り本番でもやっぱりシャーベットで失速し自分でも泣けてくる点数しか出なかったのが
点を見なくても自分自身でよくわかってる。
見てくれはごまかしたつもりでも板が走らないからチョンバレ(^^;

見事に失速、検定落ちました。
前回の検定の点数以下です。
基本技術は以前からはかなり進化したはずなのに大切な所を課題として見つめて向上させていませんでしたわ。

今後の課題

しかし、それと同時に俺自身に今後の大きな課題を突きつけてくれる事となりました。
シャーベットを含む悪条件下でのスキー板の角度調整の適正化と踏みけりによる
上体の伸び上がる角度が今後の大きな壁であり課題。
いい雪ばかりがスキーじゃないですからね。
悪条件下でも失速しない滑りを今後目指したいと思います。

恐怖のスノーボードパーク

さて、実は今回一番ビビッてたのは検定ではなくエアー。
去年の悪夢を乗り越えなければエアーはもう絶対飛べなくなる。
それはわかってるんだが非常に恐怖感に襲われた。
とりあえずボードパークへ。
ジャンプ台を横目にとりあえず素通り・・・<いかんがな!
まじもんで怖い・・・。勇気が無い・・・。
逃げててはいけないと再びボードパークへ、そして順番へ並ぶ。
ボードの子は多いんだけどスキーヤーで飛ぶやつは殆どいないから
並ぶだけで目立つんだな。<もう逃げれない、ヒ〜怖い・・・
いよいよ俺の番が周ってきた。
もう心臓バクバクもんで心臓が飛び出そうだった。
でも、ここで逃げたら死ぬほどかっこ悪い。技は無でとりあえず
最初はバランス取りの基本練習からスタートする事に。
心臓をバクバク言わせながらジャンプ台へ進入、そしてジャンプ!
後傾になってバランスは崩したがこける事なく着地。<あ〜怖かった
でも、一度飛んだらもう無敵!
恐怖感はゼロになって再びリフトに乗ってエアー台に戻ってきた。
2本目もバランス取りの為技は無しだが、バッチリ体に軸ができて完璧なジャンプ。
3本目滑走開始、今度はミュートグラブ。
ジャンプして空中で大きく体の横で板を「X」になるよう板を交差させるが
まだまだ滞空時間が十分あって技の完成度をさらに高める為に板を「X]から「+」へ。
つまり、板をクロスさせる角度をさらに大きく直角に近くなるまで角度を取るように修正。
すると見物人のうちの一人から「かっこいい!」という歓声が上った!
調子のりの俺はもう有頂天(爆)
俺が空中で技を決めてる最中に声があがったからまぁ俺の事を言われてるのでしょう<違ったら虚しいなぁ
ただ単にスキーでエアーするやつが少ないからやねんけどね。
俺はゴーグルをつけてたから見た目の事ではなく、あくまでエアーの事なんやろなぁと
まぁ、嬉しいやら悲しいやら・・・(笑)
まぁ、いいんだがすっかり気分を良くしてして4本目へ。
コザックをやってみようとしたがバランスを崩して失敗。
もっとエアーをやりたかったけど
なんせリフトを降りてここへ来るまでの間に雪が殆どない所を通らないといけないんだけど
ゴリッとやってしまって板の底に傷が数箇所行ってしまった(ToT)
穴まで空いてしまったんだよぉ(ToT)
検定中も数回ゴリっとやってしまってたんだが目で見るとあまりにも痛い痛しいので
ここで引き上げる事にして退散。
帰りは5時間かけて家に下道で帰りました。

まだビッグエアーを飛べるだけきっちり空中に舞った時の体軸が強固な物になってないし
高度なエアーは今回はやってないが、雪上でのエアー恐怖症が取れたのは
俺にとって非常に大きな一歩になりました。

今回収穫は非常に大きかったですわ。