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ishibumi
志都美神社境内 岳を詠める 片岡の この向つ峯に椎蒔かば 今年の夏の蔭に並みむか (片岡の、この向かいの岡に椎を蒔いたら、若木の影をせめて今年の夏の蔭に見立てられようか) ※歌碑は「並みむか」とありますが、本文は「将化疑」で、「ならむか」という読みや「なそへむ」とも。 |
山の辺の道 柿本朝臣人麿の妻死りし後に泣血ち哀慟みて作れる歌二首併せて短歌(のうち短歌一首) 衾道を 引手の山に 妹を置きて 山路を行けば生けりともなし (衾道よ、引手の山中に妹をおいて山道をたどると、生きた心地もないことだ) |
三輪山 額田王の近江国に下りし時に作れる歌 味酒 三輪の山 あをによし 奈良の山の 山の際に い隠るまで 道の隈 (味酒の三輪の山が、美しい奈良の山の山の際に隠れるまで、幾重にも道を折り重ねるまで、しみじみと見つづけていこうものを、幾度も望みつつ行こう山を、心もなく雲が隠すべきだろうか) |
大宇陀 かぎろひの丘 軽皇子の安騎の野に宿りましし時に、柿本人麻呂の作れる歌 やすみしし わご大君 高照らす 日の御子 神ながら 神さびせすと (あまねく国土をお治めになるわが大君、高く輝く日の御子。皇子はさながらの神として神々しくおられて、立派に君臨なさる京を後に、隠り国の泊瀬の山の真木繁る荒々しい山道を、けわしい岩石や邪魔な樹木をおしわけては坂鳥の鳴く払暁にお越えになり、玉のほのかに輝くような黄昏が訪れると、み雪ちらつく安騎の大野に穂すすきや小竹をおしふせて、草を枕の旅宿りをなさる。懐旧の情の中で)
東の野に炎の立つ見えて かへり見すれば月傾きぬ |
奈良 本薬師寺跡 師大伴卿の歌五首(のうち一首) わすれ草 わが紐に付く 香具山の 故りにし里を忘れむがため (わすれ草を私は紐につける。香具山がなつかしい、あの故郷を忘れようとして・・・) |
岩代 有間皇子結松の碑 有間皇子の自ら傷みて松が枝を結べる歌二首 磐代の浜松が枝を引き結び 真幸くあらばまた環り見む (磐代の浜松の枝を結び合わせて無事を祈るが、もし命があって帰路に通ることがあればまた見られるだろう) 家にあれば笥に盛る飯を 草枕 旅にしあれば椎の葉に盛る (家にいたなら食器に盛って食べる飯なのに、草を枕とする旅の身なので椎の葉に盛ることだ) |